インピンジメント症候群とは、腕を上げる動作などをした際に、肩関節周辺の腱板や滑液包と呼ばれる組織が圧迫や摩擦などの刺激を受け、肩に痛みや引っかかりを感じる状態です。特に腕を繰り返し上げる動作によって症状が現れやすくなります。
肩関節は大きな範囲を動かせる一方で、腕の骨や肩甲骨、腱板など多くの組織が協調して動いています。肩や肩甲骨の動きがうまく連動しなかったり、腱板などに負担が蓄積したりすると、腕を上げる際に肩周辺の組織へ負担がかかる場合があります。
野球の投球やバレーボールのスパイク、水泳など、腕を頭より高く上げるスポーツでみられることがありますが、仕事や日常生活で腕を繰り返し上げる方にも起こります。症状が続くと肩を動かせる範囲が狭くなり、着替えや物を持ち上げるといった日常動作にも影響することがあります。
インピンジメント症候群には一つの原因だけではなく、肩の使いすぎや腱板への負担、肩甲骨の動きなど、複数の要因が関係しています。スポーツで同じ動作を繰り返す場合だけでなく、仕事や日常生活での肩の使い方が影響することもあります。
肩の使いすぎ
腕を上げる動作を何度も繰り返すと、腱板や滑液包など肩関節周辺の組織に負担が蓄積します。十分な休息を取らないまま同じ動作を続けることで、痛みや炎症につながる場合があります。
投球などのスポーツ動作
野球の投球、バレーボールのスパイクやサーブ、水泳などでは、腕を頭より高く上げる動作を繰り返します。練習量が多い場合や肩に負担のかかるフォームが続くことで、肩関節周辺の組織に負担がかかることがあります。
肩甲骨の動き
腕を上げるときには、肩関節だけでなく肩甲骨も連動して動いています。肩甲骨の動きが十分でなかったり、腕との連動がうまくいかなかったりすると、肩周辺の組織に負担が集中する場合があります。
腱板への負担
腱板は肩関節を安定させ、腕を動かすために働く筋肉と腱の集まりです。繰り返し肩を使うことで腱板に負担がかかると、腱の炎症や損傷などを伴い、腕を上げた際の痛みにつながることがあります。
加齢による肩周辺の変化
年齢を重ねるにつれて腱板などの組織に変化が生じ、肩への負担に影響することがあります。また、肩峰周辺に骨棘が形成されるなどの変化によって、肩を動かした際に腱板などが刺激を受けやすくなる場合もあります。
仕事や日常生活での繰り返し動作
高い場所にある物を扱う仕事や、腕を上げた状態で作業を続ける場合にも肩へ負担がかかります。仕事や家事などで同じ動作を繰り返すことが、症状につながる場合があります。
インピンジメント症候群では、腕を上げる途中で肩に痛みや引っかかりを感じることが特徴的です。症状が進むとスポーツ動作だけでなく、着替えや物を取るといった日常生活でも痛みを感じたり、肩を動かしにくくなったりすることがあります。
腕を上げる途中で肩が痛む
腕を横や前から上げていく途中の一定の範囲で、肩に痛みを感じることがあります。さらに腕を上げると痛みが弱くなる場合もあり、このような痛み方はインピンジメント症候群でみられる特徴の一つです。
肩に引っかかりを感じる
腕を上げたり下ろしたりした際に、肩の中で何かが引っかかるような感覚を覚えることがあります。痛みだけでなく、動きの途中で違和感を感じる場合もあります。
投球動作で肩が痛む
野球などでは、ボールを投げる動作の途中や腕を振る際に肩の痛みを感じることがあります。症状が強くなると、思い切り投げられなくなったり、投球後にも痛みが残ったりする場合があります。
肩の筋力が低下したように感じる
痛みによって肩に力を入れにくくなり、以前より腕を上げにくい、物を持ち上げにくいと感じることがあります。腱板の損傷などがある場合にも、肩の筋力低下がみられることがあります。
夜間に肩が痛む
症状によっては、夜寝ているときに肩の痛みを感じることがあります。痛む側を下にして寝た際に症状が強くなり、睡眠を妨げる場合もあります。
肩を動かせる範囲が狭くなる
痛みを避けて肩を動かさない状態が続くと、腕を上げたり後ろへ回したりする動作がしにくくなることがあります。着替えや高い場所の物を取るなど、日常生活の動作に不便を感じる場合もあります。
肩の痛みや筋力低下は、インピンジメント症候群だけでなく、腱板断裂や五十肩・四十肩などでも現れることがあります。強い痛みが続いている場合や、腕を上げられないほどの筋力低下がある場合、転倒やけがの後から症状が現れた場合には、整形外科などの医療機関で肩の状態を確認することが大切です。