膝前十字靭帯損傷(ACL損傷)について
膝前十字靭帯損傷(ACL損傷)は、膝関節の中にある前十字靭帯が傷ついたり、断裂したりするけがです。前十字靭帯は、すねの骨である脛骨が太ももの骨に対して前へずれすぎることや、過度なねじれを抑え、膝の安定性を保っています。
「着地したときに膝から音がした」「膝がガクッと抜ける感じがする」「腫れて曲げ伸ばしが難しい」といった症状がみられます。スポーツ中に起こることが多く、痛みや腫れが落ち着いた後も、不安定感が残る場合があります。
当院では、けがをした状況や現在の症状を伺い、必要に応じて医療機関での検査をご案内します。診断と治療方針を踏まえ、日常生活やスポーツへの復帰に向けた身体のケアをサポートします。
膝前十字靭帯損傷(ACL損傷)の原因について
前十字靭帯損傷は、膝に強いねじれや急激な負荷がかかったときに起こります。受傷のきっかけは、相手との衝突などによる「接触型」と、接触を伴わない「非接触型」に分けられます。
接触によって起こる損傷
ラグビーや柔道などで相手とぶつかったり、膝に直接強い力が加わったりすることで損傷する場合があります。交通事故などの大きな外力でも起こり、前十字靭帯以外の靭帯や半月板などを同時に傷めることもあります。
着地や方向転換で起こる損傷
相手との接触がなくても、ジャンプからの着地、急停止、切り返しやステップなどで損傷することがあります。足が地面についた状態で身体の向きが変わる、着地時に膝が内側へ入るといった動作では、膝に大きな負荷がかかります。
受傷には、膝の角度や筋肉の働き、股関節・体幹の動きなど複数の要素が関係します。太ももの筋肉の収縮だけが原因になるわけではなく、復帰に向けては着地や方向転換を含む身体の使い方も確認することが大切です。
膝前十字靭帯損傷(ACL損傷)の症状について
受傷時に「ブチッ」「ポキッ」といった音や感覚があり、膝がガクッとずれるように感じることがあります。その場で運動を続けられなくなる場合もありますが、痛みの強さや音の有無だけでは、損傷の程度を判断できません。
けがの直後から痛むこともあれば、数時間のうちに腫れが目立ってくることもあります。関節内の出血などによって膝が腫れ、曲げ伸ばしがしにくい、体重をかけて歩きにくいといった症状が現れます。
時間がたつと痛みや腫れが軽くなる一方、方向転換や階段などで膝が抜ける「膝くずれ」が残る場合があります。膝くずれを繰り返すと、半月板や関節軟骨を傷めることがあるため、痛みがなくなったことだけで治ったと判断しないことが大切です。
状態を確認するための検査
診察では、受傷時の状況や腫れ、動かせる範囲を確認し、ラックマンテストや前方引き出しテストなどで膝の安定性を評価します。痛みや筋肉の緊張によって判断しにくい場合もあり、診察所見と画像検査を組み合わせて確認します。
レントゲンでは主に骨折などの有無を調べ、MRIでは前十字靭帯や半月板などの状態を確認します。当院では画像検査を行えないため、前十字靭帯損傷が疑われる場合は医療機関の受診をご案内し、必要に応じて紹介状を作成します。
治療方針と当院でのサポート
前十字靭帯は、損傷後に自然に元の強さや安定性へ戻るとは限りません。治療は、損傷の程度、膝の不安定感、合併するけが、年齢や希望するスポーツなどを踏まえて選びます。装具やリハビリテーションで対応する場合もあれば、手術が検討される場合もあります。
手術では、腱などを用いて靭帯を作り直す再建術が広く行われています。損傷の位置や状態によっては修復術が選択される場合もあり、担当医と相談して方針を決めます。
当院では、医師の指示や運動制限を確認したうえで、周囲の筋肉のこわばりへのケアや、膝に負担をかけにくい身体の使い方をサポートします。骨盤や股関節、体幹の動きも確認しますが、骨盤矯正によって損傷した靭帯が修復されるものではありません。
スポーツ復帰までの期間について
復帰時期は、損傷の程度や治療方法、競技の内容によって異なります。痛みが軽い場合でも「1~2か月で復帰できる」とは限らず、膝の安定性や筋力、動作の回復を確認する必要があります。
手術後は段階的にリハビリテーションを進めます。ランニングの再開と、ジャンプや急な方向転換を伴う競技への完全復帰は別の段階であり、競技復帰まで半年~1年以上かかる場合があります。経過した月数だけでなく、腫れや痛み、筋力、動作テストなどをもとに担当医が判断します。
手術を受けても再受傷の可能性はあるため、復帰後も筋力やバランス、着地動作などのトレーニングを続けることが大切です。焦らず、段階に合った負荷で進めましょう。
以前のACL損傷後に膝が痛む方へ
過去に前十字靭帯を損傷した方が、後になって膝の痛みや不安定感を覚えることもあります。現在の痛みには、筋力や動きの変化、半月板・軟骨の状態などが関係する場合があるため、以前のけがだけを原因と決めつけずに確認します。
当院でも、これまでの治療や手術歴を伺い、必要な診察を踏まえながら、膝への負担を減らすケアをご相談いただけます。日常生活やスポーツで困っている動作も含めて、お気軽にお伝えください。


天白区野並院