交通事故後には、吐き気や、周囲が回るようなめまい、体がふわふわする感じなどが現れることがあります。首の痛みと一緒に起こる場合もありますが、必ずしも首の捻挫だけが原因とは限りません。
脳振盪などの頭部への影響や、体のバランスを保つ内耳の障害、薬の影響など、さまざまな原因が考えられます。一方で、頭蓋内の出血や脳血管の異常など、緊急の対応が必要な状態でも起こる症状です。
事故直後には目立たず、数時間から数日後に症状が現れる場合もあります。頭を直接ぶつけた記憶がないことや、意識を失っていないことだけで、頭部への影響を否定することはできません。
事故後に新たな吐き気・めまいが出た場合は、早めに医療機関で評価を受けてください。事故の状況や症状の経過、神経の診察などから、必要に応じて頭部の画像検査や耳の検査を検討します。
吐き気やめまいの原因を見分けるには、症状の感じ方だけでなく、続く時間や誘発される動作、頭痛や聞こえの変化などを確認することが大切です。「むち打ちによる自律神経の乱れ」と一括りにすることはできません。
脳振盪などの頭部への影響
頭を打ったり、体への衝撃で頭が急激に動かされたりすると、脳振盪が起こる場合があります。吐き気やめまいに加え、頭痛、集中しにくさ、光や音への過敏さなどを伴うことがあります。CTなどで明らかな異常がなくても、脳振盪を否定できるとは限りません。
内耳の平衡機能への影響
内耳には、頭の動きや傾きを感じ取る仕組みがあります。頭部の外傷をきっかけに耳石の一部が本来の位置から移動し、寝返りなどで短い回転性のめまいを起こす「良性発作性頭位めまい症」が生じる場合があります。診断には、目の動きなどの確認が必要です。
薬や血圧の変化など
事故後に使い始めた薬によって、吐き気やふらつきが出る場合があります。また、立ち上がったときの血圧低下などでもめまいを感じることがあります。服薬の時刻や姿勢との関係を医師に伝え、薬は自己判断で中止・増減しないでください。
頭蓋内の出血や脳血管の異常
交通事故後の吐き気・めまいでは、頭蓋内の出血や、首の血管の損傷に伴う脳の血流障害なども見逃せません。強くなる頭痛、繰り返す嘔吐、手足の脱力などがある場合は、症状が軽くなるのを待たず、緊急の診察が必要です。
めまいには、ぐるぐる回る感じ、ふらつく感じ、気が遠くなる感じなどがあります。症状が続く間は転倒に注意し、運転や高所での作業を控えてください。首のけがが確認できていない段階で、自己流のめまい体操を行うことも避けましょう。
寝返りや頭の向きで起こるめまい
寝返りを打つ、起き上がる、上を向くといった動作で、短時間の回転性のめまいが起こる場合があります。良性発作性頭位めまい症でみられる特徴ですが、動作で悪化することだけでは診断できません。どの動作で起こり、どのくらい続くかを伝えてください。
ふらつきやバランスの取りにくさ
足元が不安定に感じる、まっすぐ歩きにくい、体が揺れるように感じる場合があります。事故後に新たに歩行の異常が出た場合は、単なる気分の悪さとして扱わず、速やかに医療機関へ相談してください。支えなしで立てないほどの場合は救急対応が必要です。
吐き気や嘔吐
めまいに伴って気分が悪くなったり、嘔吐したりすることがあります。ただし、頭部のけがでも起こるため、吐いた回数や頭痛の変化を確認することが大切です。水分をとれない状態が続く場合も、早めに医療機関へ相談してください。
耳鳴りや聞こえにくさ
めまいとともに、耳鳴り、耳が詰まる感じ、聞こえにくさがある場合は、内耳などの評価が必要です。急に聞こえが悪くなった場合は様子を見続けず、当日中を目安に耳鼻咽喉科などへ相談してください。
直ちに救急車を要請すべき変化
頭痛が急に強くなる、嘔吐を繰り返す、呼びかけへの反応が鈍い、物が二重に見える、ろれつが回らない、手足に力が入らない、支えなしで立てない場合は、119番で救急車を要請してください。通常の予約や施術を待たず、自分で運転せずに救急隊の指示に従ってください。