軟部組織損傷は、筋肉や腱、靱帯、皮下組織など、骨以外の柔らかい組織が傷ついた状態を指します。交通事故では、体をぶつける、関節をひねる、筋肉が急に引き伸ばされるなどして生じることがあります。
打撲や捻挫、筋肉・腱の損傷などが含まれ、痛みや腫れ、内出血、動かしにくさが主な症状です。首や腰だけでなく、肩、腕、手首、膝、足首など、さまざまな部位に起こります。
損傷の程度は、軽いものから筋肉・腱・靱帯の断裂を伴うものまで幅があります。「骨折ではないから軽いけが」とは限らず、骨折や脱臼、神経・血管の損傷が同時に起きている場合もあります。
事故後に痛みや腫れ、動かしにくさがある場合は、整形外科などで確認しましょう。レントゲンでは軟部組織の損傷がわかりにくいこともあるため、診察と必要に応じた超音波検査やMRIなどを合わせて判断します。
交通事故では、直接ぶつかった部分だけでなく、衝撃で引っ張られたり、ひねられたりした部分にも損傷が起こります。どこに、どのような力が加わったかが、けがの状態を把握する手がかりになります。
打撃や圧迫による打撲
車内の設備や地面などに体をぶつけると、皮膚の下にある筋肉や細い血管が傷つくことがあります。皮膚に傷がなくても、内部で出血や腫れが生じる場合があり、見た目だけで損傷の深さを判断することはできません。
関節をひねることによる靱帯の損傷
衝突や転倒の際に関節が通常の範囲を超えて動かされると、骨と骨をつなぐ靱帯などが傷むことがあります。捻挫と呼ばれるけがには、靱帯が引き伸ばされた状態から、一部または全体が切れた状態まで含まれます。
急な引き伸ばしによる筋肉や腱の損傷
体が急に揺さぶられたり、踏ん張った状態で強い力が加わったりすると、筋肉や、筋肉と骨をつなぐ腱が傷む場合があります。損傷した部位を動かす、伸ばす、力を入れるといった動作で痛みが出ることがあります。
複数の組織に及ぶ損傷
強い衝撃では、筋肉や靱帯の損傷とともに、骨折や脱臼、神経・血管の損傷が起こる場合があります。最も痛む場所だけでなく、周囲の関節や手足の感覚、血流も確認することが大切です。
症状は、傷ついた組織や損傷の程度によって異なります。事故直後には目立たなかった腫れや内出血が、時間とともにはっきりする場合もあるため、その後の変化も確認する必要があります。
押したときや動かしたときの痛み
傷めた部分を押すと痛む、関節を動かすと痛む、筋肉に力を入れるとつらいなどの症状がみられます。安静にしていても痛む場合があり、痛みの強さだけで打撲・捻挫・骨折を区別することはできません。
腫れや皮下出血
患部が腫れる、青紫色のあざができる、張った感じがするといった変化が起こります。損傷した血管からの出血が組織内にたまり、血腫となる場合もあります。腫れが急に大きくなるときは、早急な診察が必要です。
動かしにくさや力の入りにくさ
痛みや腫れによって、腕を上げる、物を握る、足に体重をかけるなどの動作が難しくなる場合があります。腱などの断裂でも動かせなくなることがあるため、無理に動かしたり、強い力をかけたりして確認しないでください。
関節が不安定に感じる
靱帯の損傷が強い場合は、関節がぐらつく、膝が抜けるように感じる、足首を支えにくいといった症状が出ることがあります。痛みが軽くなっても不安定さが続く場合は、再度の診察を受けましょう。
直ちに受診が必要な変化
痛みが急激に強くなる、腕や脚が硬く張る、しびれや脱力が出る、手足が冷たい・白っぽいなどの変化は、神経や血流の障害を疑う症状です。筋肉を囲む空間の圧力が高まる急性コンパートメント症候群では、緊急の治療が必要になります。施術や通常の予約を待たず救急外来を受診し、安全に移動できない場合は119番で救急車を要請してください。