脳脊髄液減少症は、脳や脊髄を取り囲む脳脊髄液が減少することで、頭痛などの症状が生じる状態を指す名称です。脳脊髄液が外へ漏れ出すことによるものは「脳脊髄液漏出症」と呼ばれます。
代表的な症状は、座ったり立ったりすると悪化し、横になると軽くなる「起立性頭痛」です。首の痛み、吐き気、めまい、耳鳴りなどを伴う場合もありますが、これらの症状だけで診断できるものではありません。
交通事故などの外傷をきっかけに起こる場合もあります。ただし、事故後に頭痛やめまいが続くことだけで、髄液が漏れているとは判断できません。脳振盪や首の損傷、耳の病気など、ほかの原因との区別が必要です。
脳神経外科や脳神経内科などでは、頭痛と姿勢の関係や経過を確認し、頭部・脊椎のMRIなどで評価します。検査結果を総合して判断し、必要に応じて髄液の漏出部位を調べる専門的な検査を検討します。
脳脊髄液は、脳や脊髄の周囲を満たし、衝撃を和らげるなどの役割を担っています。これを包む膜の損傷などによって髄液が漏れると、脳を支える働きや頭蓋内の圧力のバランスに変化が生じ、頭痛などにつながります。
外傷に伴う髄液の漏出
交通事故や転倒などの外傷によって、脊髄を包む硬膜などが損傷し、髄液が漏れる場合があります。ただし、事故後に症状が始まったという経過だけで、漏出の有無や事故との因果関係を確定することはできません。診察や検査による確認が重要です。
医療処置に伴うものや、明らかな外傷のないもの
腰椎穿刺や脊髄くも膜下麻酔など、硬膜に針を通す処置の後に髄液が漏れ、頭痛が生じる場合があります。また、明らかな事故や処置がなくても自然に発症することがあります。受診時には、事故の状況だけでなく、最近受けた検査や処置も伝えましょう。
髄液の減少に伴う頭蓋内の変化
髄液が減ることで脳を支える浮力が低下し、痛みに関係する組織が引っ張られることなどが、頭痛の仕組みとして考えられています。髄液の圧力が低くなる場合がありますが、測定した圧力が正常範囲でも漏出が認められることがあります。
似た症状を起こす病気との区別
起き上がるとつらくなる症状は、起立性低血圧などでも生じます。また、片頭痛や外傷後の頭痛などが似た経過を示す場合もあります。「横になると楽になる」という特徴だけで決めつけず、ほかの原因も含めて評価することが大切です。
症状の強さや組み合わせには個人差があります。特に、姿勢を変えてから症状が出るまでの時間や、横になった後の変化を伝えることが、診断の手がかりになります。
座る・立つと悪化する頭痛
起き上がると頭痛が強くなり、横になると軽くなることが代表的な特徴です。起きてすぐに痛む場合もあれば、しばらく過ごしてから悪化する場合もあります。経過が長くなると、姿勢による違いがはっきりしなくなることもあります。
首の痛みや吐き気
頭痛に加えて、首の痛みやこわばり、吐き気などがみられる場合があります。ただし、交通事故後には首の捻挫や頭部のけがでも起こるため、これらを髄液減少に特有の症状と考えることはできません。
めまいや耳の症状
ふらつき、耳鳴り、耳が詰まる感じ、聞こえにくさなどを伴う場合があります。内耳の病気などでも起こる症状のため、頭痛との関係や左右差、症状の持続時間を医師に伝えてください。
疲れやすさや集中しにくさ
強い疲労感や集中しにくさがあり、仕事や家事を続けることが難しくなる場合があります。起きていられる時間や、休息が必要になる場面など、日常生活への影響も含めて相談することが大切です。
直ちに受診が必要な変化
突然の激しい頭痛、意識がぼんやりする、繰り返す嘔吐、ろれつが回らない、手足に力が入らないといった症状がある場合は、頭蓋内の出血なども考える必要があります。脳脊髄液減少症に硬膜下血腫が合併する場合もあるため、診断を受けている方も、急な変化をいつもの症状と判断しないでください。施術や通常の予約を待たず、119番で救急車を要請してください。