びまん性脱毛症とは、頭部の一部分だけでなく、広い範囲にわたって髪が抜けたり、薄くなったりする状態を指します。「びまん性」には、変化が広い範囲に広がっているという意味があります。
境界のはっきりした脱毛部分ができるとは限らず、髪全体のボリュームが減る、分け目の地肌が目立つといった変化から気づくことがあります。女性の髪の悩みとして取り上げられることが多いものの、男性にも起こります。
びまん性脱毛症という言葉は、特定の一つの原因を示すものではありません。毛の生え替わりの変化による休止期脱毛症や、女性型脱毛症、体の病気など、さまざまな背景が考えられます。
皮膚科では、脱毛が始まった時期や広がり方、髪の太さ、頭皮の状態などを確認します。必要に応じて血液検査などを行い、原因を見分けたうえで対応を検討することが大切です。
頭部の広い範囲で髪が減る原因は、一つとは限りません。抜け毛が急に増えたのか、髪が徐々に細くなったのかなど、変化の仕方を確認することが原因を見分ける手がかりになります。
毛の生え替わりの変化
高熱を伴う病気や手術、出産、急激な減量、強い心身のストレスなどをきっかけに、成長を休む「休止期」へ移る髪が増えることがあります。その数か月後に頭部全体の抜け毛が増える場合があり、休止期脱毛症と呼ばれます。
髪が徐々に細くなる変化
女性型脱毛症では、頭頂部を中心とした広い範囲で髪が細くなり、地肌が目立つことがあります。休止期脱毛症とは仕組みや対応が異なりますが、両方が重なる場合もあります。女性ホルモンの減少だけで、すべてを説明できるものではありません。
栄養状態や体の病気、薬の影響
鉄の不足や極端な食事制限、甲状腺の病気、薬の影響などが、広い範囲の脱毛に関係する場合があります。食事内容や体重の変化、服薬状況などを確認し、必要な検査を検討します。薬が気になる場合も、自己判断で中止せず処方した医師に相談してください。
ほかの脱毛症によるもの
円形脱毛症でも、円形の脱毛部分がはっきりせず、頭部全体の髪が減る場合があります。そのため、「全体的に薄いから休止期脱毛症」とは判断できません。髪の抜け方や頭皮の観察などから、ほかの脱毛症との違いを確認する必要があります。
主な変化は、頭部の広い範囲で髪の密度やボリュームが低下することです。ただし、すべての場所が同じ程度に薄くなるとは限らず、原因によって目立つ部位や進み方が異なります。
髪全体のボリュームが減る
髪をまとめた束が以前より細い、頭部全体がふんわりしにくい、といった変化がみられます。特定の部分だけ髪がなくなるとは限らないため、初めのうちは変化に気づきにくい場合もあります。
分け目や広い範囲の地肌が透けて見える
分け目が以前より広く見えたり、髪の間から地肌が透けて見えたりすることがあります。頭頂部を中心に目立つ場合もありますが、分け目の広がりだけで原因を特定することはできません。
抜け毛が増える場合と、徐々に薄くなる場合
洗髪やブラッシングの際に抜け毛が急に増え、その後に髪の量の減少を感じる場合があります。一方、抜け毛の増加が目立たず、時間をかけて髪が細くなる場合もあります。始まり方や経過は、診察で伝えたい大切な情報です。
頭皮に目立った異常がない場合
髪の量が減っていても、頭皮に赤みやかゆみなどがみられないことがあります。頭皮の見た目が正常でも、毛周期の変化や体の病気が関係している場合があるため、症状が続くときは確認が必要です。
早めに受診したい変化
短期間で髪の量が大きく減る、眉毛やまつ毛も抜ける、頭皮に強い赤みや痛みがある場合は、早めに皮膚科へ相談してください。また、疲れやすさや体重の変化などを伴う場合も、髪の症状と合わせて医師に伝えましょう。回復までの期間や必要な治療は、原因によって異なります。