冷え症は、周囲の人が寒さを感じない環境でも、手足などに強い冷たさを感じ、その状態が続いたり繰り返されたりするものです。一般に「冷え性」とも呼ばれ、冷える部位やつらさには個人差があります。
手足の冷たさが気になる方もいれば、全身が冷えるように感じる方もいます。冷えの自覚があっても、必ずしも体の内部の温度が低下しているとは限らず、低体温症とは区別して考える必要があります。
冷えには、皮膚の血流や体温を調節する働きなどが関係します。一方で、貧血や甲状腺の病気、血管の病気などによって、冷えを感じやすくなる場合もあります。
冷えが長く続く場合や、以前より強くなった場合は、体質だけと決めつけずに医療機関へ相談しましょう。医療機関では、冷える部位や症状が始まった時期、ほかの症状などを確認し、必要に応じて血液検査などを行います。
冷えの背景は一つではありません。寒さに対する血管の反応や、体の熱をつくる・保つ働き、病気の有無など、複数の要因を考えることが大切です。
末梢の血流と体温調節の働き
寒い環境では、体の熱が逃げるのを防ぐために皮膚の血管が収縮し、手足の血流が少なくなります。この調節には自律神経が関わっており、冷え症の方では末梢の血流や皮膚温の低下がみられることがあります。ただし、冷えだけで「自律神経が乱れている」と断定することはできません。
体の熱をつくる・保つ働きの変化
体内の代謝によってつくられる熱や、熱を逃がしにくくする皮下脂肪なども、寒さの感じ方に関係します。食事が十分にとれていない場合や、体重が極端に少ない場合などには、寒さに弱くなることがあります。
貧血や甲状腺の病気など
貧血や、甲状腺ホルモンの働きが不足する甲状腺機能低下症などでも、冷えを感じることがあります。特に、冷えに加えて強い疲れやすさ、体重の変化、便秘などがある場合は、背景に病気がないか確認することが大切です。
血管の反応や血流の障害
寒さや精神的な緊張をきっかけに指先の血管が強く収縮し、指が白色や青紫色になる「レイノー現象」では、冷たさやしびれを伴うことがあります。また、動脈が狭くなる・詰まるなどの血流障害でも冷えが生じるため、左右差や皮膚の色の変化にも注意が必要です。
冷える場所や症状が出る場面は、人によって異なります。冷たさの強さだけでなく、持続時間や左右差、痛み・しびれの有無も確認することが大切です。
手足の冷たさが続く
手の指先や足先などが冷たく感じられ、暖かい場所に移っても気になることがあります。冬だけでなく、夏の冷房が効いた室内などで症状が出る場合もあります。
周囲の人より寒さを強く感じる
周囲の人が快適に過ごしていても、自分だけ寒く感じ、衣類や室温の調整が必要になることがあります。手足だけでなく全身の寒さが目立つ場合や、最近になって寒がりになった場合は、体調の変化も含めて確認しましょう。
指先の色の変化やしびれを伴う
冷えとともに指先が白色や青紫色になり、温まると赤くなる場合は、レイノー現象の可能性があります。しびれや痛みを伴うこともあり、繰り返す場合や、指先に傷・ただれがある場合は、医療機関での確認が必要です。
ほかの体調の変化を伴う
冷えに加えて疲れやすさ、むくみ、体重の増加、便秘などがみられる場合は、甲状腺機能低下症などが背景にある可能性があります。これらをすべて冷えのせいと考えず、続く場合は内科などに相談してください。
急いで受診が必要な変化
片方の手や足が突然冷たくなり、強い痛み、皮膚が白くなる変化、感覚の鈍さ、動かしにくさなどを伴う場合は、急な動脈の閉塞による血流障害の可能性があります。施術や通常の予約を待たず、直ちに救急外来などの医療機関を受診してください。