男性型脱毛症は、額の生え際や頭頂部を中心に、髪が徐々に細く短くなる脱毛症です。一般にAGAと呼ばれるものと同じ疾患で、男性にみられる代表的な薄毛の原因の一つです。
特徴は、単に髪が抜けることではなく、太く長く育つ髪が少なくなっていくことです。「前髪が以前のように伸びない」「頭頂部の髪が立ち上がりにくい」といった変化から気づく場合もあります。
思春期以降に始まり、時間をかけて進むことが多いものの、発症する年齢や変化の速さは人によって異なります。男性に起こる脱毛がすべて男性型脱毛症というわけではなく、抜け方や頭皮の状態を合わせて確認する必要があります。
皮膚科では、薄くなっている部位、髪の太さ、これまでの経過や家族歴などをもとに判断します。進行を抑える治療や発毛を促す治療があるため、変化が気になる段階で相談することが大切です。
男性型脱毛症には、遺伝的ななりやすさと男性ホルモンの作用が関係します。髪をつくる組織への働きかけによって成長の周期が変化し、少しずつ髪が細くなっていきます。
毛の根元に対する男性ホルモンの作用
男性ホルモンのテストステロンは、5α還元酵素という酵素によって、ジヒドロテストステロン(DHT)に変換されます。DHTが毛の根元にある細胞に作用することで、髪の成長を妨げる仕組みが働きます。
髪が十分に育つ前に生え替わる
通常は数年間続く髪の成長期が短くなり、太く長く育つ前に成長を終えるようになります。生え替わりを繰り返すうちに細く短い髪の割合が増え、髪が残っていても地肌を覆いにくくなります。
遺伝的な要因による個人差
発症には複数の遺伝的な要因が関わります。父方・母方のどちらの家系も関係し得ますが、家族と同じ年齢や同じ程度で進むとは限りません。家族歴は診断の参考の一つであり、それだけで発症や将来の状態を決めるものではありません。
男性型脱毛症を、洗髪不足や生活習慣だけが原因の薄毛と考えるのは適切ではありません。また、体調の変化による抜け毛や頭皮の病気が重なる場合もあるため、いつもと異なる変化があれば、別の原因も確認する必要があります。
男性型脱毛症を見分ける際には、抜け毛の量だけでなく、「どこが」「どのように」「どのくらいの期間で」変わっているかが大切です。一度の見た目だけでは判断しにくい場合もあります。
前頭部と頭頂部に変化が偏る
額の左右の生え際が後退する、つむじの周囲の髪が薄くなるなど、一定の部位に変化が現れます。両方で進むこともありますが、側頭部や後頭部の髪は比較的保たれる傾向があり、部位による違いが診断の手がかりになります。
細い髪や短い髪が目立つ
薄くなり始めた部位では、周囲の髪に比べて細く短い髪が目立つことがあります。以前のように前髪の長さがそろわない、髪を整えても地肌が隠れにくい、といった変化につながる場合もあります。
抜け毛が目立たなくても薄毛が進む
洗髪時の抜け毛が急に増えなくても、髪の細毛化によってボリュームが減る場合があります。そのため、抜け毛が少ないことだけを理由に、男性型脱毛症ではないと判断することはできません。
頭皮に目立った炎症がないことが多い
一般に、髪の変化が中心で、頭皮に強い赤みや痛みなどはみられません。かゆみを感じる方もいますが、強いかゆみや大量のフケ、湿疹が続く場合は、頭皮の別の病気が重なっていないか確認しましょう。
典型的な経過と異なる場合は受診を
突然まとまって髪が抜ける、円形に髪がなくなる、後頭部を含めて急に毛量が減る場合は、男性型脱毛症以外の原因も考える必要があります。眉毛やまつ毛の脱毛、頭皮の痛みや膿などを伴う場合も、自己判断せず皮膚科へ相談してください。